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2018.08.04
家は駅から7分以内で?不動産市場が激変!

不動産業界の状況の変化が顕著になってきた。かつて高級住宅地として開発された地区の資産価値の目減りが目立つ一方、かつては「駅から徒歩10分以内」が目安とされていた「 駅近 えきちか 」の定義が「7分以内」に限定され、当該エリアのマンションなどの価格は上昇している。

2017年に公表された公示地価で前年比「マイナス8.5%」となり、住宅地として下落率全国ナンバーワンだったのは、地方や過疎地などではなく「千葉県柏市大室地区」でした。柏市といえば典型的な東京のベッドタウン。東京都心まで30~40キロ圏内、都心勤務ならドアトゥードア(家を出てから会社に入るまでの時間)で1時間~1時間半程度という好立地です。

 大室地区周辺にある総戸数約1600戸の大規模開発分譲住宅地は1980年代前半に分譲が開始されました。当時、「大企業に勤める課長」をターゲットとした高級住宅街として売り出され、30~40代で住宅を買えるようになったビジネスマンとその家族が、ほぼ同時に入居しました。

 それから35年前後が経過。建物とともに、当時からの所有者も60~80代に高齢化し、亡くなってしまうケースや、「高齢者向け住宅」に住み替えるケース、利便性を求め、駅前や駅から近いマンションに引っ越すケースなどが増え、空き家が目立ち始めています。

 住み替える場合、元の家が中古住宅として首尾よく売れれば良いのですが、老朽化しているうえ、特に駅から遠い場合はそのこと自体が敬遠材料となり、大幅に資産価値が下落。売却すること自体が難しくなっているのです。このような現象は何もこの地域に限ったことではありません。程度の差こそあれ1970~80年代に開発されたベッドタウンに共通する現象といえます。増加する空き家やマンションの空室に若年層が引っ越してこなければ、今後ますます空き家は増加し、価値は下落する一方でしょう。

一方、同じ柏市内でも、主要駅である柏駅前やその周辺は、リーマン・ショック以降一貫して価格が上昇しています。ニーズが「駅前・駅近」に偏り始めているのです。

 リーマン・ショックのあった2008年当時、柏駅から徒歩で1分離れるごとに、中古マンション価格は1平方メートルあたり6000円~7000円程度下がるといわれていました。それから9年経たった現在では、徒歩1分の下落幅が1万6000円程度へと拡大しています。こうした傾向は今後さらに拍車がかかるでしょう。一方で「駅前」「駅近」の物件は、今後も根強い需要が続いて価格が横ばい、あるいは上昇するはずです。

 そして、駅から離れた地域の住宅需要の減少はどんどん加速するでしょう。特に、現在でもバスしか使えない立地となると、需要がきわめて少ない状況になっています。需要減が加速する理由は、「人口減・世帯減」に加え「少子高齢化」にあるといえます。

 国立社会保障・人口問題研究所は、日本の人口が50年には、現在より約3000万人減少すると推計(中位推計の数値)しています。また「国土のグランドデザイン2050」(国土交通省)によると、全国を1平方キロメートルごとの地点でみた場合、10年比で50年に人口が半分以下、もしくは人が住んでいない状態になるとされた地点が可住地域の60%以上を占め、50%未満の減少から横ばいの地点は35パーセント、人口が増加するとみられる地点はわずか2%に過ぎません。

丸の内・大手町エリアと近い都営大江戸線勝どき駅周辺には、巨大マンションが林立する
丸の内・大手町エリアと近い都営大江戸線勝どき駅周辺には、巨大マンションが林立する


 不動産価格や、マンションなどの賃料は、金利の動きや、金融政策の動向など様々な要素に影響されるとはいえ、結局は「需給」で決まるのです。深刻な住宅需要の不足によって、多くの不動産価格や賃料は下がると予想されます。こうした状況の中で、資産価値を維持、向上させる観点でみると、駅前や駅近が強く、それ以外は極端に弱くなるといった「格差」は今後ますます広がるでしょう。

 シンガポール国立大学の清水千弘教授らの研究によれば、日本の住宅価格の平均は10年から40年までの30年間で、46%下落するといいます。つまり、10年の時点で土地・建物を含め2000万円で売られていた住宅は、40年にはなんと1080万円になってしまうというわけです。ただ、これはあくまで全国平均です。実際には価値が維持・上昇する一部の地域があるものの、そのほかは、年数%の勢いで下落し続ける地域、さらにはもっと急に下落する地域と、不動産市場は「三極化」するとみられます。

日本最大級の不動産情報サイト「SUUMO(スーモ)」を運営するリクルート住まいカンパニー(東京)は、約15年前に利用者調査を実施しました。この時点で「駅近」を「徒歩10分以内」ではなく、「7分以内」と回答する人が多かったため、希望物件を検索する際の選択肢に7分以内を加えたそうです。今では多くのサイトが7分以内を選択肢に入れています。一見すると半端ですが、人間の心理的な感覚なのかもしれません。

 一方、ある物件情報サイトでは、5年前は賃貸・分譲ともに10分以内が検索総数の90%を占めていたといいます。利用者が現実に、賃料やローンを払うことを考えると、候補を10分以内まで広げる必要があったのでしょう。それが現在では7分以内が90%となっています。「駅近」ニーズの高まりを受け、新築マンションを分譲・販売するデベロッパー(開発会社)は、駅からの距離が徒歩7分を超える用地の仕入れには非常に慎重になっています。

 12年12月の政権交代以来、「アベノミクス」や東京五輪・パラリンピック招致の成功による景気回復基調で新築マンション販売価格の上昇が続いています。背景には建築業界の人手不足や資材価格の上昇、一部地域の地価高騰などもありますが、デベロッパー側の戦略によって都心、あるいは駅前や駅近に立地するマンションの販売が圧倒的に増えていることも、平均価格を押し上げている側面があります。

 不動産経済研究所(東京)が今月発表した7月の首都圏のマンションの販売動向は、前年同月比3.3%増の3426戸でした。しかし、東京23区以外は、交通の便がよくない「郊外」が多いためか低調だったようです。この動きは近畿でも同様。大阪・梅田からも徒歩7分で、最寄りの地下鉄駅に直結しているマンションの売り上げが好調で、市内の1平方メートルあたりの価格が前年同月比で25.1%上昇しました。やはり都心や駅近のマンションがよく売れて市場全体の水準を押し上げていることを表している、といえます。



そもそも「徒歩7分」は正確か?



 ところで、駅から「徒歩7分」というのは、あくまで不動産の広告表示上の数字で、実際にはもっとかかるケースが大半です。「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則(広告表記)」では「80メートルで(徒歩)1分と算出し、1分未満の端数も1分とする」と決まっています。しかし、実際には途中に信号や歩道橋があったり、坂道があったりすればその分、時間が余分にかかります。

 また、例えば駅やマンションの敷地が広大な場合、広告表記では駅から最も物件に近い地点と、マンションの敷地で最も近い地点を結ぶため、現実的には家を出発してから駅に到着するまで、もっと時間がかかる場合もあります。   

 さらに、タワーマンションの高層階の場合、マンションの敷地から出る前と入った後にエレベーターに乗ることになります。朝の通勤・通学ラッシュ時に混雑した場合、エレベーターの「渋滞」で、マンションの敷地を出るまでに時間がかかってしまいます。

 現在はこうしたことが考慮されていない広告表記ですが、将来的には表記の規則も変更される可能性があります。それ以前に、買い手や借り手の目が肥えてくれば、自ずと「実質的な移動時間」の指標が求められるようになってくるのではないでしょうか。今後人口の減少に拍車が掛かれば、買い手や借り手が求める「駅近」の距離は、もっと縮まることになるかもしれません。

しかし、必ず「駅前・駅近」の物件を選ぶべきなのかというと、必ずしもそうではありません。例えば将来的に不動産の価値が下落することをある程度想定したうえで、駅から遠いものの、自分たちが気に入った場所に住むという選択も決して間違いとはいえません。

 また、駅から遠いところでも、将来的に若い人たちの流入が見込めそうな場所なら資産価値の下落をあまり気にする必要はないでしょう。政府が「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク政策」として主導し、全国348の自治体で行われているのが「立地適正化計画」です。

 一言で言うとこれは「街を縮める政策」です。上下水道の修繕やゴミの収集、除雪をはじめとする各種作業など、行政が手掛ける様々な業務の効率を高め、自治体の持続可能性を模索するというものです。

 自治体が「居住誘導地域」と指定した地域について、人口密度などに関する目標を立てます。埼玉県毛呂山町では、町内の居住誘導地域で「人口密度を維持」しながら「(2035年頃までに)公示地価の10%以上の上昇を目指す」としています。

 こうした地域であれば不動産価格の維持どころか上昇も見込めるでしょう。こうした自治体の都市政策、ひいては「経営力」が問われる時代です。



政策で人口増に成功した自治体も



 「母になるなら、流山市」というキャッチコピーで一躍有名になったのが千葉県流山市。東京都心からやや離れており、放置しておけば衰退しかねない典型的な街でしたが、子育て世帯を集める独自の政策が奏功し、現在も人口は増加し続けています。

 まず、子どもの医療費は中学3年生まで助成の対象となり、通院は1回200円、入院は1日200円の自己負担ですむなど、手厚い子育て支援制度があります。また、実家での出産を望む市民には、県外の医療機関で行った妊婦健康診査の費用でも、助成の対象としています。

 さらに、待機児童問題を解消し、働きながら子育てできる環境を実現すべく、JR南流山、つくばエクスプレス・東武鉄道流山おおたかの森の両駅に「送迎保育ステーション」を開設。朝、親が連れてきた子どもたちを預かり、指定した保育園へバスで送迎。夕方、バスで戻ってきた子どもたちを親が迎えに行くまで預かってくれます。午前6時から最長で午後9時まで利用可能で、月額2000円。1日だけの「スポット」なら1回100円から利用可能です。

 地域で子育て支援を行う「ファミリー・サポート・センター」も2か所あります。育児の支援を受ける側の利用会員と、行う側の提供会員がそれぞれ登録。提供会員が冠婚葬祭などの際や幼稚園や保育園の始まる時間まで子どもを預かり、指定した場所まで子どもを送迎するなどしてサポートします。平日の午前6時から午後10時までなら、1時間700円で利用できます。利用会員は、6か月~10歳未満の子どもがいる人が対象です。

 こうした行政サービスは、納税額の多い共働き世帯の流入があるからこそ実現できることです。魅力的な取り組みを行う自治体は人を集め、自ずと不動産価格も維持され、さらに上昇へと向かうのではないでしょうか。

読売オンライン抜粋