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2019.02.02
都心億ションを普通に買う「共働き若夫婦」の実像

◇豪華だった初期の「億ション」

 「億ション」とは、分譲価格が1億円を超える高額マンション住戸のこと。都心部を中心にマンションが増え始めた1960年代に生まれ、最初は1億円のマンションという意味で「1億ション」とも呼ばれたが、3億円、5億円の住戸が出てきたことで、億ションの呼び名が定着した。

 バブルが起きる前の80年代まで、「億ション」の威光は今よりずっと大きかった。たとえば、60年代は、都心の赤坂で新築マンション3LDKが3000万円程度で購入でき、郊外の建売住宅が1000万円で購入できた時代だから、1億円を超えるマンションは、腰を抜かすほど高かったからだ。

 現在価値で10億円以上のマンションが、初期の「億ション」だったと考えてよいだろう。

 現在、都心部で1億円程度の新築マンションは、初期の億ションほど豪華ではない。広さは70平方メートル程度。初期の億ションが200平方メートル以上あったことを考えれば、「普通」の広さだ。

 住戸の内装も「普通」である。初期の億ションは床や壁が石張りとか天然木張りだったが、現在の1億円マンションは一般的なフローリングに白い壁紙が張られている。

 ところが、この「普通の億ション」が、現在の売れ筋になっている。その理由は、「普通の人たち」が、1億円程度の住戸を盛んに買っているからだ。

 「普通の人たち」とは、ベビーカーに赤ちゃんを乗せた若夫婦。そして、子どもがいない夫婦たち。その多くが共働きだ。

 共働きで、世帯年収の多い夫婦に対し、今はパワーカップルという呼び名が生まれている。このパワーカップルには明確な年収基準があるわけではない。夫婦共に年収700万円以上で世帯年収1400万円以上とする考え方もあるし、夫婦で1000万円(たとえば、夫が600万円で妻が400万円)以上とすることも……。世帯年収が1000万円以上であれば、大きなパワーを持っていることは間違いないだろう。

 ◇共働きなら夢ではない

 では、世帯年収が1000万円を超えれば、億ションを購入できるのだろうか。

 昭和時代は「購入できるマイホームの値段は年収の5倍まで」とされた。その説から計算すると、世帯年収1000万円では億ションを購入することはできない。

 しかし、「年収の5倍まで」というのは、住宅ローンの金利が5%前後だった時代の基準。現在のように、住宅ローン金利が実質1%を大きく切ると計算の仕方も変えなければならない。

 現在、「年収の8倍から10倍」までのローンが通るケースが多い。そこで、年収の8倍で計算すると、世帯年収1000万円なら8000万円まで住宅ローンを組むことができる。残り2000万円を、それまでの貯金や双方の親からの資金援助でまかなえば、億ションも夢ではなくなる。

 世帯年収が1200万円、1400万円あれば、さらに億ションへの道は広がる。30代サラリーマン世帯でも、共働きであれば、億ションは夢ではない。

 その億ションは、都心部に立地し、通勤が楽。これは、共働き世帯にとって、何よりの恩恵となる。そして、夫婦共有名義で購入し、それぞれが住宅ローンを組めば、それぞれが住宅ローン控除を受けることができる。現在10年間で最大400万円(一部住宅は最大500万円)の控除を夫婦共に受けることができるので、共働き夫婦にとってはうれしい話だ。

 ◇離婚したらローンはどうなる?

 一方で、夫婦でローンを組むことのリスクもある。

 たとえば、片方が失職した場合、ローン返済ができない可能性がある。しかし、大手企業や公務員の場合、そのリスクは小さいだろう。

 もう一つのリスクは、離婚したときどうなるか、というもの。細かな説明は省くが、離婚したとき、夫婦でローン返済しているマイホームはやっかいのタネになりかねない。

 ところが、である。

 今、億ションのあるマンション販売センターで出会うパワーカップルからは、「将来、離婚しそう」というにおいがまったくといっていいほどしないのだ。

 夫婦ともに温厚で、仲がよい。お互いに信頼し合っている様子で、離婚などしそうもないのだ。その夫婦が購入しようと思っているのは、便利な都心の億ション。通勤時間が短くて済む住まいなので、お互い、自分の時間を持つことができ、ストレスも生じにくい。これで、お互いを信頼し、尊重し合っていれば、離婚のリスクは小さいだろう。

 離婚のことなど、つゆほども考えず、順風満帆な生活を想像するパワーカップルに支えられ、都心の1億円マンションは好調に売れているわけだ。

 ただし、パワーカップルは無尽蔵に存在するわけではない。それは、間違いない事実なのである。